労働法規改正についての法律情報です。額田・井口法律事務所(ぬかだ・いぐち法律事務所)

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■労働法規の改正■

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ご存知ですか労働関係法規の改正

LR1 2011.11.30

最近、労働法規で、次のような改正がなされています。
 事業規模によっては、その適用の猶予が認められていますが、猶予期限が迫っているものもあります。早め、早めの対応をお勧めします。


【1】時間外労働の割増増賃金等

1 改正の概要

(1)1か月60時間を超える時間外労働の割増賃金

時間外労働が1か月につき60時間を超える場合は、超過時間については、通常の労働時間の賃金の50%以上の割増賃金を支払わなければならものとされました(現状の25%以上から引き上げ。60時間までは現状どおり25%以上)

(2)1か月45時間を超える時間外労働を行う場合

1か月45時間を超える時間外労働(残業)をさせる場合には、あらかじめ労使で特別条項つきの時間外労働協定を締結する必要がありますが、

① 同協定には、月45時間を超える時間外労働の割増賃金率を定めることが必要

② ①の率は25%を超えるよう努めること(事業主の努力義務)

2 施行と適用猶予

平成22年4月1日から施行されています。
 但し、(1)については、次の事業主については、当分の間、適用されません。(2)については事業規模に関わらず適用されます(猶予はありません)。

猶予される会社(事業主)の規模
業種 資本金の額または出資の総額(A) 常時使用する従業員数(B)
小売業 5千万円以下 50人以下
サービス業 5千万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他 3億円以下 300人以下

※(A)(B)いずれかに該当すれば、猶予される。

 詳細は厚生労働省HPのリーフレット
http://www.mhlw.go.jp/topics/2008/12/dl/tp1216-1e.pdf


【2】育児・介護休業

1 改正の概要

(1)子育て支援の拡充

従来は、3歳までの子どもを養育している労働者について、短時間勤務制度、残業免除制度などの中から1つを選択して制度化すれば足りるとしていましたが、改正後は、次の①、②の制度をともに設けることが事業主に義務付けられました。また、子どものための看護休暇制度が強化されました(③)。

① 短時間勤務制度

3歳までの子どもを養育する従業員に対し、1日の所定労働時間を原則として1日6時間とする制度

※従業員が希望して利用する
※育児休業を所得していない従業員に限る
※1日の所定労働時間が6時間以下の従業員、労使協定で適用除外とされた従業員(勤続年数が1年未満、1週の所定労働日が2日以下など、労使協定で除外対象とできる従業員は法定されている)などについては適用除外

② 所定外労働(残業)の免除

3歳までの子どもを養育する従業員が申し出た場合は、事業者は、その従業員を所定労働時間を超えて労働させてはならない(残業させることができない)
※勤続年数が1年未満、1週の所定労働日が2日以下の従業員は、労使協定で適用除外とすることができる

③ 子どものための看護休暇の拡充

小学校就学前の子どもを養育する従業員は、子どもが一人の場合は年間5日まで、二人以上の場合10日まで子どもを看護(病気・けがの看護、予防接種、健康診断)するために休暇を取得することができる
※勤続年数が6か月未満、1週の所定労働日が2日以下の従業員は、労使協定で適用除外とすることができる

(2)父親の子育て参加

① 父母ともに育児休業をする場合の休業可能期間の延長

父母がともに育児休業を取得する場合、育児休業取得可能期間を、子どもが1歳2か月に達するまで延長する

② 出産後8週間以内の父親の育児休業取得の促進

妻の出産後8週間以内に父親が育児休業を取得した場合、特例として、育児休業の再度の取得を認める(1回しか取得できない(中断できない)原則の特例)

(3)介護支援(介護休暇)

介護等(要介護状態にある家族の介護、通院付添、介護サービスの手続等)のための短期の休暇の制度を設ける。
対象家族が一人の場合は年間5日まで、二人以上の場合は年間10日まで。
※勤続年数が6か月未満、1週の所定労働日が2日以下の従業員は、労使協定で適用除外とすることができる

2 施行と適用猶予

平成22年6月30日から施行されています。
ただし、常時100人以下の従業員を雇用する事業主については、平成24年7月1日から適用になります。したがって、それまでに、就業規則を変更するなどの対応が必要です。

 詳細は厚生労働省HPのリーフレット
http://www.mhlw.go.jp/topics/2009/07/090701-3.pdf



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