民法(債権法)改正と雇用関係。額田・井口法律事務所(ぬかだ・いぐち法律事務所)

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民法(債権法)改正と雇用関係

LR12 2019.9.17

債権法分野の民法改正が2020年4月1日から施行されます。雇用関係には実質的な影響はほとんどありませんが、1点、気をつけていただきたいのが、「身元保証(人)」です。

採用時に「身元保証人」を求める企業は少なくないと思いますが、「被用者が会社に損害を与えた場合、その被用者の損害賠償義務を保証する(被用者とともにその責めを負う)」との「身元保証」は、『根保証』にあたります。
 改正民法は、個人が保証人となる根保証では、「極度額」(保証人の責任限度額)を決めておかなければ (*)根保証は無効になるとしています(民法465条の2第1,2項)。

この極度額の定め方ですが、具体的に、「○○円」と定めるのが原則です。ただ、具体的金額が露わになることの抵抗感からか、「採用初年度の月額給与額の○年分」という定め方でもよいのではないか、という議論があります。
 同じく根保証になる賃貸借契約における賃借人の保証人についての議論で、立法担当者は、「賃料の○か月分」という定め方ではダメで(無効になる)、少なくとも、月額賃料額が同一書面の中で明かになっている必要があるとしています。そうでないと、保証人にとって自分が負担する責任の上限が分からないからです。
 これから考えると、新卒者であれば初任給はおおよその推測はつくであろうから、このような定め方でも大丈夫だという見方もありますが、新卒初任給でも30万円を超える企業もあれば16-7万円という企業もあります。3年分としたら1080万円〜576万円の開きができ、保証人の責任限度が明確になっているとは言いがたいでしょう。まして、中途採用では初年度の給与額に一層大きな開きがあります。したがって、初年度の給与額が明記されていないと、身元保証自体が無効とされる可能性が大きいと考えておいたほうがよいでしょう。
 留意しておきたいところです。

(*)保証の合意(契約)は書面か電磁的でしないと無効です(民法446条2,3項)。極度額の定め(合意)も書面か電磁的記録でしなければ効力がありません(民法465条の2第3項)

以上




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