法律情報
悪質な似非ファクタリングにご用心
LR13 2020.4.14
新型コロナウイルスが蔓延するなか、資金繰りが悪化した事業者の窮状につけこみ、悪徳金融業者が売上金等を大幅に買い叩いたうえ、当該売掛金等が弁済されないと、額面での買戻しを迫るという事例が報道されました。
弁済期が到来していない売掛金等を売却して資金化することを一般に『ファクタリング』といいますが、正常なファクタリングは、売掛金等の売買であり、当該売掛金等の債務者が弁済期に弁済しない場合にも買受人は売却人(債権の譲渡人)に買戻しを求めません(すなわち、債務者の信用リスクを買受人が負担する)(*1)。
これに対して、弁済されない場合には買い戻すことを要するとの特約がついている場合は、実質的に「貸付け」となり(*2)、このような買取りを行う業者は「貸金業者」として登録が必要であり、利息制限法が適用される可能性が出てきます(利息制限法が適用されれば、額面で買い戻す必要なく、売買代金(割引金額)に利息制限法に基づき計算した「利息」を付加した合計額を支払えばよいことになります(*3))。
ファクタリングは、適正な業者との間で行うべきです。
(*1)正常なファクタリングにおいても、譲渡時点ですでに債務者が破綻していた場合や、譲渡人が反対給付(売却した商品の引渡しなど)をしない場合などには買戻義務を負う旨の合意がなされることはあります。
(*2)貸金業法は、貸金(消費貸借)のほか、「手形割引、売渡担保その他これらに類する方法によってする金銭の交付」も「貸付け」に当たるとしています。売掛金等の売買に弁済されない場合の買戻義務が付加されると、実質的には手形割引に「類する」ことになります。
(*3)もちろん、上記合計額より額面金額のほうが安ければ額面金額によります。
以上