法律情報
定時株主総会の“開催延期”は可能です
新型コロナウイルスの蔓延で、定時株主総会の開催を躊躇されている企業もおありかと思います。
結論から言うと、定時株主総会を、定款規定の開催時期から“延期”することは可能です。
会社法では、株主総会は毎事業年度の終了後、一定の時期に開催しなければならないとされていますが(296条)、事業年度の終了(決算期)後3ヶ月以内に開催することまでは要求されていません。
通常、定款で、「事業年度の終了(決算期)後3ヶ月以内」としていることが多いと思いますが(また、旧商法時代から「一定の時期」とは「事業年度の終了(決算期)後3ヶ月以内」というように、毎年変動することのない時期である趣旨だと解されていましたが)、法は不可能を強制するものではないので、上記のような定款の定めも、天災等により開催ができない場合まで、その時期に開催することを要求するものではないと考えられます。
したがって、事態が収束した後、合理的な期間内に開催されれば、取締役としての善管注意義務には違反しないと考えられます(*)。
(*)なお、適法な招集手続によって招集された株主総会は、開催の時期にかかわらず、適法な総会として成立します。
問題は、定款で、株主総会で議決権を行使できる株主や配当(剰余金配当)の対象となる株主を確定する「基準日」を定めている場合です。基準日を定めた場合、権利行使できるのはその基準日から3が月以内とされているため(124条2項)、3月決算の会社であれば6月までに総会を開催しないと、この定款の定めによることはできなくなります。
その場合でも、会社は(定款規定はそのままで)改めて「基準日」を定めることができます。ただし、その基準日の2週間前までに、その基準日と株主が行使できる権利の内容を公告する必要があります(同条3項)。