普通の会社の法務についてのQ&Aです。額田・井口法律事務所(ぬかだ・いぐち法律事務所)

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■普通の会社の法務Q&A■

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普通の会社の法務Q&A


普通の会社の法務Q&A一覧

Q1  株主総会の権限

Q2  株主総会の開催

Q3  株主総会の開催地

Q4  株主総会の招集手続

Q5  株主提案権

Q6  議決権の代理行使

Q7  特別利害関係人

Q8  取締役の義務・責任

Q9  退任後の競業避止義務

Q10 取締役の報酬

Q11 取締役の解任

Q12 取締役の辞任

Q13 退職慰労金

Q14 取締役会の招集

Q15 取締役の代理出席

Q16 特別利害関係人の議決権

Q17 決算

Q18 配当(「剰余金の配当」)

Q19 増配の要求

Q20 株式の払戻

Q21 譲渡制限株式

Q22 増資

Q23 株主の知らない新株発行

Q24 社債

Q25 定款変更

Q26 機関構成の変更

Q27 一人会社

Q28 会社分割

現行の会社法は会社の機関設計(取締役会・監査役(会)の有無、委員会制等)について多くバリエーションを用意していますが、実際に存在する会社の大多数を占めるのは、取締役会・監査役設置で、全部の株式につき譲渡制限(株式の譲渡に会社の承諾を必要とする。このような株式を譲渡制限株式という)のある会社[非公開会社*]です。一般の法律解説は、大会社・上場会社を念頭においたものが多いのですが、もっともポピュラーな上記のタイプの会社を対象として、その法律問題について、解説します。

(*)なお、これに対して全部または一部の株式が譲渡制限のない株式である会社を公開会社といいます。非公開会社と公開会社で違いがある点については[※]で説明します。

株主総会

Q1 株主総会の権限

株主総会では、どのようなことも決めることができますか?

A 取締役会設置会社における株主総会で決定できるのは、原則として、以下の法定事項のみです(295条2,3項。これらは、取締役会で決定することはできない)。

① 取締役、監査役の選解任

② 会社の基礎的事項の変更(定款変更、合併、会社分割等)

③ 会社の重要な利益に関する事項(配当、株式併合等)

④ 取締役に委ねると株主の利益が害される恐れがある事項(取締役の報酬等)

  なお、定款で上記事項以外の事項を総会決議事項として追加することは可能です(295条2項)。
 これに対し、取締役会を設置していない会社では、会社に関する一切の事項について決定することができます(同条1項)。

Q2 株主総会の開催

株主総会は、必ず、年1回開催しなければならないのですか?

A 会社法は、「定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期までに招集しなければならない。」と規定しており(296条1項。定時株主総会)、事業年度は1年を超えることはできません(会計規則91条2項。会計年度は定款に定めがあり、1年とする会社が大多数)。したがって、最低限、年1回開催することが必要です。
 通常、定款に招集時期の定めがあり、遅滞したら取締役の任務懈怠になりますが、遅滞して開かれても総会自体は有効なものです。
 また、年度中に臨時に開催することも可能です(296条2項。臨時株主総会)。
 なお、議決権を行使できる株主の全員が書面・電磁的記録で議案に同意したときは、株主総会の開催を省略できます(319条)。

Q3 株主総会の開催地

株主総会はどこで開催してもよいのですか?

A 会社法には開催地の限定はないので、どこでも開催することができます(招集通知に開催地を記載することは必要)。ただし、株主に著しく不便な場所で開催した場合は、決議取消事由になります。
 なお、定款で招集地を定めている場合には、その定めに拘束されます(通常、定款に開催地の定めがあります)。

Q4 株主総会の招集手続

株主総会は、どのようにして招集するのですか?

A 取締役会が決定して、代表取締役が招集します(296条3項、298条)。
 なお、総株主の議決権の3%以上(2人以上で3%以上を保有する場合でもよい)[※]有する株主は、この請求には会議の目的事項(議題)と招集の理由を示して、代表取締役に株主総会の招集を請求することができます。請求したのに招集されない場合(①請求後、遅滞なく招集手続が取られない場合、②請求があった日から8週間以内の日を会日とする招集通知が発せられない場合)には、当該株主は裁判所の許可を得て株主総会を招集することができます(297条)。
 [※]公開会社では、6ヶ月前から引き続き保有していることが必要。

Q5 株主提案権

株主として、議題や議案を提案することができますか?

A 総株主の議決権の1%以上または300個以上の議決を持つ株主[※]は、一定の議題(例えば、「取締役選任の件」)を株主総会の議題とするよう代表取締役に請求することができます(303条。(*))。
 総会の場では、出席した株主(1議決権でもよい)は、誰でも、当該総会の議題に関し、議案(例えば、「取締役に、甲を選任する」)を提出することができます(304条)。
 また、総株主の議決権の1%以上または300個以上の議決を持つ株主[※]は、自己の提案する議案(自己が請求した議題に関するものでも、会社提案の議題に関するものでもよい)を招集通知に記載するよう求めることもできます(305条。(*))。
 [※]公開会社では、6ヶ月前から引き続き保有していることが必要。
 (*)総会の日の8週間前までに請求する必要がある。

Q6 議決権の代理行使

株主総会には代理人を出席させることができますか?

A 議決権は代理人によって行使することができます(310条1項)。会社は代理人の数を制限することができます(同条5項)。
 多くの会社では定款で代理人を株主に限るとしており、このような定款の定めは有効です。ただし、このような定めがある場合でも、法人株主が株主でない従業員等に議決権を行使させることは問題なく、株主の法定代理人も代理権の行使が認められます。弁護士(非株主)を代理人として出席させることができるかについては、見解が分かれています。

Q7 特別利害関係人

議案に関して特別の利害関係を持つ株主も株主総会で議決権を行使できますか?

A できます。
 議案に特別の利害関係を有するというだけでは議決から排除されず、議決権の行使を認めた結果、著しく不当な決議がなされた場合は、決議取消事由になります(831条1項3号)。決議取消の訴えは、決議から3ヶ月以内に提起しなければなりません。
  *特別利害関係人の例 …退職慰労金支給決議における、支給を受ける者
 ただし、自己株取得の決議における対象となる株主は当該決議において議決権を行使できません(140条3項、160条4項、175条2項)。

取締役・取締役会

Q8 取締役の義務・責任

取締役は、どのような義務や責任を負いますか?

A 取締役は、善管注意義務(330条、民法644条。経営を受託されたプロ“としてのレベルの注意を払う)、忠実義務(355条。会社より自分の利益を優先させてはならない)を負います。
 また、取締役が競業取引・自己取引・利益相反行為を行うときには、取締役会[※]の承認が必要です(356条1項)。

競業取引…取締役が個人で、または代表者となっている他社が会社と同じ事業を行う場合(新たに同業他社の代表者となる場合も。他社の平取締役である場合は承認不要。ただし、平取締役や取締役以外でも実質的な支配者となって競業行為を行えば忠実義務違反として損害賠償義務等を負う場合はありうる)

自己取引…取締役が個人として、あるいは他社の代表者として会社との間で取引を行う場合

利益相反行為…取締役と会社の利益が実質的に相反する場合。例えば、取締役個人の債務について会社が保証したり担保を提供する場合、取締役が代表者となっている他社へ会社が約束手形を振り出す場合など。

 [※]取締役会を設置していない会社では株主総会の承認

Q9 退任後の競業避止義務

取締役を辞めた後も競業避止義務を負いますか?

A 取締役は会社と同じ事業を営むことはできないのが原則ですが(競合避止義務。取締役会の承認を得れば可能)、取締役を辞めた後は、このような競業避止義務はありません。ただし、会社との契約で退職後も競業を行わないことを合意している場合はできません(→トピックスのバックナンバー『取締役・従業員の競業行為』ご参照)。

Q10 取締役の報酬

取締役の報酬は社長(代表取締役)の一存で決めてよいのですか?

A 取締役の報酬は、①定款で定めるか、②株主総会の決議[普通決議]で定めることとされています(361条。いわゆる“お手盛り”禁止)。いずれの定めもないのに報酬を支払うのは違法です。
 個々の取締役の具体的金額を規定or決議するのが理想ですが、全取締役の報酬総額を規定or決議すればよいとされています。通常、株主総会で総額(「○○万円以内とする」等)を定め、個々の取締役の具体的金額は取締役会に一任する旨を決議することが多いです(一度総額を決議したら、その総額を増額しない限り、毎年、株主総会で決議する必要はない)。取締役会の決議で、さらに代表取締役に一任することも有効と考えられています。

Q11 取締役の解任

取締役は、解任することができますか?

A 取締役は、株主総会決議[普通決議]で、いつでも解任できます(339条1項)。ただし、正当な理由がないのに解任したときは、会社は当該取締役に対し損害賠償義務があります(同条2項)。
 取締役に不正の行為、法令・定款に違反する重大な事実があるにも係わらず、当該取締役の解任決議案が総会で否決されたときは、総議決または発行済み株式の3%以上の議決権または株式を有する株主(2人以上の株主で3%以上となる場合でもよい)[※]は、株主総会の日から30日以内に、当該取締役の解任の訴えを提起することができます(854条)。
 [※]公開会社では、6ヶ月前から引き続き保有していることが必要。

Q12 取締役の辞任

取締役は、辞任できますか?

A 会社と取締役の関係は委任関係ですので(330条)、取締役はいつでも辞任することができます(民法651条1項)。ただし、会社に不利な時期に辞任したときは、やむを得ない理由がない限り、当該取締役は会社に対して損害賠償義務を負います(同条2項)。
 なお、辞任により法定の(取締役会設置会社は3人)、または定款所定の最低員数を下回ることになる場合は、後任者が選任されるまで取締役としての地位が続きます(346条1項。後任者の選任の登記と同時でないと辞任の登記は受け付けられない)。

» 辞任したのに辞任の登記をしてくれない
 登記申請ができるのは代表取締役だけです。登記申請をしない場合は、裁判で登記をするよう求めるほかありません。

Q13 退職慰労金

任期満了で取締役を退任しましたが、退職慰労金が支給されません。払ってもらえないのですか?

A 退職慰労金は「報酬」に該当するので、定款に定めるか、株主総会の決議がないと、権利として支払を求めることはできません。
 決議等で具体的な金額を定めることが本来の趣旨ですが、上限を決めて取締役会に一任したり、会社に内規等があるなら「内規に従い、具体的金額の決定は取締役会に一任する」という総会決議でもよいとされています。ただし、後者の場合、株主が「内規等」をいつでも閲覧できる状態にあること、内規等が具体的数値を算入すれば慰労金の金額を算出できるもの(例えば、「退職時の年俸×在職年数」)であることが必要です。
 このような定款規定や総会決議がない以上、退職慰労金を請求することはできません。

Q14 取締役会の招集

代表取締役が取締役会を招集しないのですが、どうしたらよいですか?

A 各取締役は取締役会を招集することができるのが原則ですが(366条1項本文)、定款で招集権者を代表取締役と定めた場合(通常は、そのような定めがある)は、代表取締役のみに招集権があります(同項ただし書き)。
 代表取締役が招集しない場合は、他の取締役は、代表取締役に対し、目的事項(議題)を示して取締役会の招集を請求できます(366条2項)。請求日から5日以内に、請求日から2週間以内の日を会日とする招集通知が発せられないときは、請求した取締役は取締役会を招集することができます(同条3項)。

» 株主による招集
 株主は、取締役が①会社の目的外の行為、②法令・定款違反する行為をし、またはする恐れがあると認めるときは、代表取締役に取締役会の招集を請求することができ、上記の期間内に上記の会日の招集通知が発せされないときは、請求をした株主は取締役会を招集することができます。当該株主は取締役会に出席して意見を述べることができます(以上、367条)。

» 監査役による招集等
 監査役は、①取締役が不正の行為をし、またはするおそれがあると認めるとき、②法令・定款に違反する事実、著しく不当な事実があると認めるときは、代表取締役に報告し(382条)、必要と認めるときは取締役会の招集を請求することができます(383条2項)。請求しても上記の期間内に上記の会日の招集通知が発せされないときは、当該監査役は取締役会を招集することができます(同条3項)。なお、監査役は、(上記によって自ら招集した取締役会に限らず、すべての)取締役会への出席し、必要なときは意見を述べる義務があります(同条1項)。

Q15 取締役の代理出席

取締役会には代理人を出席させることができますか?

A できません。取締役は会社から委任を受けた者であり、取締役会は取締役自身が議論をすることに意義があるので、取締役は自ら出席しなければならず、代理は認められません。
 なお、定款に定めがある場合は、取締役の全員が書面または電磁的記録で議案に賛成することで取締役会の決議を省略することができます(370条)。ただし、監査役が反対したら省略はできません。

Q16 特別利害関係人の議決権

議題に特別の利害関係を有する取締役(特別利害関係人)は議決に加わることはできますか?

A 取締役会では、特別利害関係人は議決に加わることはできません(369条2項。その決議の定足数にも参入されない[同条1項])。
*特別の利害関係 …代表取締役解任議案の対象となる代表取締役、自己取引承認の当該取締役などが該当します。

決算・配当

Q17 決算

決算はどのようにして確定するのですか?

A 決算の手続は、以下のとおり。

⑴ ①決算書類(貸借対照表・損益計算書書・株主資本変動計算書・個別注記表)、②事業報告、③附属明細書を作成

⑵ 監査役の監査を受ける

⑶ 取締役会で承認

⑷ 株主総会で、②を報告、①の承認を受ける[普通決議]

Q18 配当(「剰余金の配当」)

配当は社長(代表取締役)が自由に決めてよいですか?

A 配当(「剰余金の配当」)をするには、株主総会の決議が必要です(454条1項)。
 期末の配当のほか、定款で定めたときは、取締役会決議で、中間配当が可能です(454条5項)。
 配当可能額は、原則として、貸借対照表上の「その他の資本剰余金」と「その他の利益剰余金」の合計額(自社株を保有しているときは、自社株の簿価を控除する)を上限とします(461条2項)(★)。
 ただし、純資産額が300万円未満のときは配当できません(458条)。
 また、配当をする場合には、準備金の合計額が資本金の額の4分の1に達するまで、配当により減少する剰余金の額の10分の1を資本準備金または利益準備金として積み立てなければならないとされています(445条4項)。すなわち、準備金の合計額が資本金の額の4分の1未満のときは、上記の配当可能額(★)の11分の10までしか配当できないことになります。

Q19 増配の要求

株主として、増配の要求はできますか?

A 株主は、株主総会で議題に関し議案を提出することができます(304条)。そこで、配当(剰余金の配当)という議題において、会社提案の配当率(議案)に対し増額した配当率(株主提案の議案(修正案)。いわゆる動議)を提出することができます。もちろん、配当可能額の範囲に限られます。
 なお、総株主の議決権の1%以上または300個以上の議決権を有する株主[※]は、総会の日の8週間前までに、代表表取締役に対し、一定の配当率(配当額)とする議案(株主提案議案)を招集通知に記載するよう請求することができます(305条2,3項)。
 [※]公開会社では、6ヶ月前から引き続き保有していることが必要。

株式・増資・社債

Q20 株式の払戻

株式の払戻や買取を会社に求めることができますか?

A 株式は会社への出資であり、会社継続中は払戻(会社による買取)はしないのが原則です。例外として、次のような制度があります。

① 会社による自己株の取得(特定の株主との合意による取得。156条、160条)
 株主総会決議[特別決議]が必要(309条2項2号)。ただし、上記の配当可能額(Q18)を限度とします。

② 譲渡制限株式の譲渡不承認の場合
 次項で説明します。

Q21 譲渡制限株式

譲渡制限株式は譲渡できないのですか?

A 会社(取締役会)の承認を受ければ譲渡できます。
 株主は、譲渡制限株式を譲渡しようとする場合、会社に、①譲渡の承認、②譲渡を承認しないときは会社が買い取るか買取人を指定することを請求することができます(136条、138条1号ハ)。譲渡を承認しないときは、会社は自ら買い取るか(自己株主の取得になり、株主総会の特別決議が必要[140条2項、309条2項1号])、買取人を指定(取締役会決議)しなければなりません(140条)。
 取締役会を設置していない会社では、譲渡承認は株主総会の普通決議、買取人の指定は株主総会の特別決議によります。
 価格は、会社・指定人と株主の協議で、協議がまとまらないときは裁判所が決定しますが、裁判所への申立は会社または指定人からの買取通知があった日から20日以内にする必要があり、この期間内に申立てがないときは一株あたりの純資産額になります(144条)。

Q22 増資

増資したいのですが、どのようにするのですか?

A 増資(新株発行)は、会社法のもとでは「募集株式の発行」として規定されています(199条〜)。
 非公開会社(前注)では、新株発行は、株主割当(既存株主に平等に割り付ける)が原則です。株主割当による新株発行は、定款で取締役会決議で発行できる規定がある場合には、取締役会の決議で発行できます(202条3項2号)。このような定款規定がない場合(同項4号)、あるいは株主割当によらない場合(全株主に平等ではなく一部の株主にのみ割当てる場合もこれに当たる)には、株主総会の特別決議によらなければなりません(199条2、3項、309条2項5号。なお、株主総会の特別決議で取締役会へ委任することができる[200条1項、309条2項5号]。この委任の有効期間は1年[200条3項])。

※公開会社では、株主平等割付の原則はありません。取締役会の決議で新株を発行できますが(201条、202条3項3号)、第三者・一部の株主だけに特に有利な金額で発行(有利発行)するときは株主総会の特別決議が必要(201条1項、199条3項→199条2項。なお、特別決議による取締役会への委任も可)。なお、第三者等への有利発行でも、発行されてしまえば、株主総会の特別決議がなくても無効原因にならないとされています(非公開会社の場合とは異なる。ただし、新株発行の株主へ通知・公告も欠く場合は無効原因になる[最判平成9年1月28日民集51-1-71])。

» 授権株式制度(授権資本制度)
 会社は、定款に定めた「発行可能株式総数」までしか株式を発行することはできず、その4分の1までは現に発行した状態でなければなりません。したがって、新株の発行も、発行可能株式総数までしか発行できず、これを超えて発行しようとするときは定款を変更して「発行可能株式総数」を増加させる必要があります。もっとも株主総会で新株発行と同時に定款変更を決議することも可能で、新株発行の効力が生じることを条件として「発行可能株式総数」を増加させる定款変更も有効です。

Q23 株主の知らない新株発行

A社(発行済み株式100株)の株式70株を保有する株主ですが、私の知らないところで、100株の増資がなされ代表取締役のBがすべて引き受けています。このような増資(新株発行)は有効ですか?

A 非公開会社では、新株発行は、株主に平等に割り当てるのが原則で(202条1項)、既存株主に持株割合に応じた発行以外の方法で新株を発行するするには株主総会の特別決議が必要です(199条2項、200条1,3項、309条2項5号)(→Q22参照)。
 株主総会の特別決議がないまま発行されたとすれば、違法な発行で(新株発行の無効原因になる[最判平成24年4月24日民集66-6-2908])、発行から1年以内であれば、株主は新株発行無効の訴えを起こすことができます(828条1項2号)

Q24 社債

非上場企業でも社債を発行できますか?

A 会社は上場・非上場、公開・非公開を問わず社債を発行することができます(676条)。一人に対しても発行可能です。
 社債の発行は取締役会決議で行います(362条4項5号)。社債を発行する場合には、原則として、社債管理者(社債権者の利益保護のため、会社から委任を受けて、社債の管理を行う者)を置かなければなりませんが、①各社債の金額が1億円以上、または②50口未満の発行の場合は、社債管理者を置く必要はありません(702条)。
 社債券を発行しないこととすることもできます(676条6項)。
*銀行が、社債に対する保証を商品化しています(銀行保証があれば、社債の信頼性が高まる。なお、当然、保証料等が発生)。
*50人(社)以上の投資家に社債を発行する場合は、金融商品取引法により、有価証券届出書等の提出などが必要となることがあります(したがって、50口未満の発効であれば有価証券届出書等の提出も、社債管理者の設置も必要ありません)。

定款変更・その他

Q25 定款変更

定款は変更できますか?

A 株主総会[特別決議]で変更することができます(466条、309条2項11号)。

Q26 機関構成の変更

取締役会や監査役を廃止することはできますか?

A 取締役会を廃止して《取締役+監査役》型の会社へ、あるいは監査役も廃して《取締役のみ》の会社へ変更することもできます(取締役会を置いたまま監査役だけを廃止することは−会計参与を置かない限り−できません)。取締役会を設置しないのであれば、取締役は一人でも構いません。いすれも定款変更が必要です。
 大会社(資本金5億円以上、または負債200億円以上)では、委員会型でない限り、取締役(会)のほか必ず監査役・会計監査人を置く必要があります。
 逆に、監査委員会設置会社、指名委員会等設置会社とすることもできますが、非公開会社ではそのメリットは少ないでしょう。

Q27 一人会社

「一人会社」とは? 普通の会社と違う点は?

A 株主が一人だけ(100%保有)の会社を一人会社といいます。一人会社でも一般の会社と同じく法令・定款に則って運営しなければなりませんが、例外的に、取締役会決議が必要な事項について取締役会の決議がないまま実行しても無効とはされず(最判昭和45年8月20日、最判平成5年3月30日等。すなわち、事実上、取締役会決議は不要)、総会の招集手続も不要であって、いつでも、どこでも開催できます(最判昭和46年6月24日。さらに唯一の株主が書面で議案に同意したら株主総会の開催も省略できる)。

Q28 会社分割

会社分割とはどういうものですか?

A 会社分割とは、ある会社(甲社)の事業の全部または一部に関する権利・義務を既存の(吸収分割)、あるいは新たに新設する(新設分割)別の会社(乙社)へ移転することです。通常、当該「事業」にかかわる従業員も転籍します。
 合併では合併する会社は当然に消滅しますが、会社分割では分割した会社(甲社)の法人格は残ります(全部を分割して“抜け殻”になった結果、甲社につき清算手続が取られることもありますが、それは分割自体とは別の話です)。
 甲社は、乙社から対価として乙社の株式や現金等を受け取りますが、分割と同時にそれらを自社の株主に配分することもできます(配分する場合を人的分割、配分しない場合を物的分割と呼ぶことがあります)。甲社の株主が、その持株割合に見合う事業自体(会社資産)の配分を受けるわけではありません。
 会社分割を決定するには株主総会の特別決議が必要で、事前・事後の開示、債権者保護手続等が必要です。

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